多くの場合、答えは「はい」です。ICMJE勧告は、原稿の作成にAI支援技術を使用した場合は著者がそれを開示するよう求め、チャットボットを著者として記載することはできないと定めています。学術誌のポリシーは文言や記載場所こそ異なるものの、行き着くルールは同じです。使うことは認められ、隠すことは認められません。
ICMJEは具体的に何を求めているのか?
ICMJE勧告は2つの要件を定めており、この2つが医学出版における主流の立場を形づくっています。著者は原稿の作成にAI支援技術を使用したことを開示しなければならず、チャットボットは著者になれません。
2つ目の要件は、AIに対する何らかの見解からではなく、オーサーシップの基本原則から導かれます。オーサーシップには説明責任が伴います。著者は研究の正確性と信頼性に責任を負い、出版後に寄せられる質問に答えられなければなりません。言語モデルは誰に対しても説明責任を負えず、最終版を承認することも、出版後の問い合わせに答えることもできません。この基準によって、言語モデルは自動的に除外されます。
著者が実際に対応しなければならないのは1つ目の要件で、その範囲は多くの人が思っているより広いものです。テキストの生成に限りません。モデルを使って文献を要約する、草稿を翻訳する、わかりやすくするために方法セクションを書き直す、解析に使ったコードを生成する、といった使い方はすべて「原稿の作成に使用したAI支援技術」に含まれます。
一般に開示の対象とされないのは、長年にわたって学術執筆で使われてきた定型的な言語ツールです。スペルチェッカーや文法チェッカー、文献管理ソフト、同様の支援ソフトウェアがこれにあたります。多くの学術誌が実務上引いている線は、ツールが内容を生成したのか、それとも著者が書いたものを修正しただけなのか、という点です。モデルが生成した文、段落、コード、画像が投稿原稿に含まれているなら、開示してください。
ポリシーは細部で異なるため、一般的なルールが当てはまると思い込まず、投稿前に投稿先の学術誌の投稿規定を読むのが確実です。
開示はどこに、どのように書くべきか?
開示は学術誌が指定する場所に記載します。その場所は投稿先によって異なります。よくあるのは、謝辞に設ける専用の記述、方法セクションでの申告、投稿システム自体の入力欄です。この3つすべてを、それぞれ異なる形で求める学術誌もあります。
実用に足る開示には、ツール名、(わかっていれば)バージョン、用途、そして出力を誰が検証したかを記載します。著者がいちばん書き漏らしやすく、しかもいちばん重みを持つのが、この最後の要素です。単なる告白を、品質管理についての説明に変えるからです。
短い例を2つ挙げます。
| 不十分な開示 | より確かな開示 |
|---|---|
| 「本原稿の作成にAIを使用しました。」 | 「考察セクションの読みやすさを改善するためにGPT-4を使用しました。すべての内容は著者が確認・編集しており、その内容について著者が全責任を負います。」 |
| 「文献レビューにChatGPTの支援を受けました。」 | 「先行研究の初期の要約を作成するためにChatGPTを使用しました。引用したすべての文献は著者が独自に入手・検証しており、モデルの出力から採用した引用はありません。」 |
2組目の対比は、見た目以上に重要です。Scientific Reportsに掲載された査読付きの検証では、GPT-3.5が生成した文献の引用の過半数が架空のものであり、GPT-4でも架空または誤った引用がかなりの割合で生じ、実在の文献を指す引用でさえ実質的な誤りを含むことが多いとわかりました。参考文献まわりで少しでもモデルを使い、各項目を検証しなかった著者の原稿には、開示の問題とはまったく別に、実際に問題が生じています。
開示は投稿時ではなく、ツールを使ったその時点で書いておきましょう。モデルがどのセクションに手を加えたかを3か月後に思い出そうとすることが、不完全な開示を生む原因です。
AI利用を開示しなかった場合はどうなるのか?
開示されていないAI利用は、技術的な規則違反ではなく倫理上の問題として扱われ、学術誌にはそのための確立された手順があります。COPEのガイダンスは、出版済み論文に対して提起された懸念、オーサーシップをめぐる争い、出版後の訂正に対処するための文書化された手順を編集者に示しており、開示されていないAI利用も同じ仕組みで扱われます。
結果の重さは、隠したことが何に影響したかによって変わります。申告せずに整えた考察セクションであれば、訂正と、編集者との気まずいやり取りで済みます。架空の参考文献が印刷にまで至った場合は話が別です。存在しない研究への引用が、学術記録に残ってしまうからです。捏造されたデータや画像となると、正式に定義された研究不正の領域に入ります。米国研究公正局の定義では、研究不正が成立するには、捏造、改ざん、盗用が意図的に、承知の上で、または無謀に行われたことが必要です。
著者が過小評価しがちな、検出という側面もあります。編集部では、通常の投稿チェックの一環としてAI生成のテキストや画像をスクリーニングすることが増えており、大手出版社はSTM Integrity Hubを通じて共有のスクリーニング基盤で協力しています。生成ツールは統計的な痕跡を残します。スクリーニングは完全ではなく、示すのは証明ではなくシグナルですが、この非対称性は容赦がありません。開示済みの利用が検出ツールに指摘されても何も問題になりませんが、開示していない利用が指摘されれば、問われるのはツールではなく著者の誠実さです。
評判の損得勘定は単純です。開示にかかるのは2文だけです。隠していたことが発覚すれば、論文のほかのすべての部分の信用を失います。
著者はいま何をすべきか?
AI利用の開示を、投稿時に後回しにするのではなく原稿作成の一部として扱えば、この件全体が悩ましいものではなく、単なる事務手続きになります。
- 記録をつけ続ける:どのツールがどのセクションに関わったかを、執筆しながら更新していきます。
- モデルが生成したものはすべて検証する:特に参考文献です。すべてのDOIを実際の文献記録と照合します。
- 投稿先の学術誌のポリシーを読む:記載場所や文言の要件は学術誌によって異なるため、投稿前に確認します。
- モデルを著者として記載しない:オーサーシップを示唆するような形で謝意を示すことも避けます。
- 判断に迷うケースも開示する:開示しすぎても不利益はありませんが、開示が足りなければ不利益があります。
こうした習慣が役立つのは、AIに関する要件が今では、報告ガイドライン、データの公開・共有に関する記載、利益相反の申告などと並んで、学術誌が投稿に求める長いリストの1項目になっているからです。投稿先のルールに照らして原稿を確認している著者は、投稿ポータルで初めて気づくのではなく、ほかの項目と同時に開示の問題にも気づく傾向があります。
混同されがちな2つの問いを分けて考えることも役立ちます。モデルを使ってよいかどうかはポリシーの問いであり、答えはたいてい「開示を条件に使ってよい」です。出力が正しいかどうかは質の問いであり、どのポリシーも代わりに答えてはくれません。文章を引き締めるために言語モデルを使い、それを開示して検証しているなら、特に問題にはなりません。開示も検証もせずに使い、誰も書いていない論文への参考文献が3件紛れ込んだなら、それは開示だけでは解決できなかった問題です。両方に、この順番で対処してください。質に関する問いは、別の記事「架空の引用が実際の論文に入り込む経緯」で取り上げています。
Octymにできること
Octymは、AI生成のテキストや画像のシグナルと、投稿先の学術誌が求める申告事項について原稿をレビューし、検出結果を原稿内の位置とともに根拠として報告します。これらは人が検討するためのシグナルであり、著者の行為について結論を下すものではありません。すべての検出結果は出典まで確認できるため、検証が可能です。特定の学術誌の要件に合わせてレビューをどう設定するかは、ニーズに合わせた設定のページでご確認いただけます。